東北大学国際集積エレクトロニクス研究開発センタ-(CIES)

仙台市,  宮城県 
Japan
http://www.cies.tohoku.ac.jp
  • 小間番号2537

集積エレクトロニクスの国際的拠点として世界を牽引すると共に、グローバル企業と地域企業を有機的に結びつける役割を担います。

【CIESコンソーシアムの必要性】

これまで、集積エレクトロニクス技術は、省エネルギー化に大きく貢献してきました。しかし、ナノテクノロジー時代に突入し、半導体集積回路の微細化やチップあたりの素子数の増加に伴い、消費電力の増大問題に直面しています。(消費電力の壁)。 また、ニーズ・シーズの技術サプライチェーンの繋がりは年々強まってきており、もはや従来の一対一型の産学共同研究だけで革新的技術を創出することが、困難になりつつあります(機能向上の壁)。

これらの課題を解決し、省エネ社会に向けた革新的な集積エレクトロニクス技術を生み出すためには、新しい成長原理を創出し、科学的理解(学の力)と高度なモノ作り力(産の力)を結集する産学連携の場の高度化と拡充が急務となっています。この社会的要請に鑑み、国際集積エレクトロニクス研究開発センター(CIES)は、2012年10月、東北大学が蓄積してきた知と伝統に基づき、世界の知がまわる国際的研究開発拠点(CIESコンソーシアム)を構築し、将来の省エネ社会・安心安全社会等に資する革新的技術の研究開発を推進することを目的として活動を開始しました。

【CIESの特徴】

CIESでは、異分野研究を摺り合わせる"多"対"多"の共創場を構築するために、グローバルスタンダードな設備の導入や、新しい制度と体制の構築に取り組んでいます。設備面では、ワールドクラスの企業と互換性のある共通設備として、300mm ウエハ対応のスピントロニクス集積回路向けプロセスライン、共通評価分析装置、デバイス特性評価装置等を完備。制度面では、迅速な意思決定に資する拠点運営への産業界の参画制度、産学共同研究を促進するフレキシブル、かつグローバルスタンダードな契約、知的財産の一元管理・戦略的運用制度、共通設備利用制度と人事制度等の改革、および産学連携による人材育成制度の構築をしています。これらにより、多くの参加機関と高度な先端研究を実施する際の「連携シナジー」と「情報の秘匿性」を両立させる研究環境が整備されています。

【CIESの研究活動】

 現在、CIESコンソーシアムは以下の3点を柱とし、(1) 次世代半導体メモリから、高性能ボード技術やパッケージ技術、画像処理技術等の低消費電力化を実現する電子デバイスコンポーネントを中心としたIT分野の研究開発と、(2) 革新的なパワーマネージメント・低損失電力供給を実現する自動車向け電装部品コンポーネントを中心としたカーエレクトロニクス分野の研究開発を推進しています。

1.世界トップクラスの国内外の企業との幅広い分野における産学共同研究 

2.産業化の基礎となる先端分野の研究開発を担う大型の国家プロジェクト 

3.裾野の広い産業化を目指す地域連携プロジェクト                                  

CIESはこれまでに、材料・装置・デバイス・回路・システムなど多様な国内外の企業と連携して、7つの産学共同研究と5つの大型国家プロジェクト(JST-ACCEL, CSTI-ImPACT, NEDOプロジェクト, JSPS-Core-to-Core Program、JST-OPERA)からなる国際産学コンソーシアム(CIESコンソーシアム)を運営して参りました。研究成果としては、不揮発磁気メモリ(STT-MRAM)の研究開発において、世界最高アクセス速度(2GHz)の4T-2MTJ型1M STT-MRAM、及び1T-1MTJ型2M STT-MRAMの開発、世界最小となる磁気トンネル接合素子(MTJ)の動作実証に成功いたしました。また、CIESコンソーシアム参画企業が新しいSTT-MRAM用計測装置シリーズをプレス発表する等、開発技術の実用化に関する成果を得ております。

 そしてCIESは、CIESコンソーシアムとして3本目の柱となる地域企業とのIT・自動車分野における連携活動も行っています。具体的には、宮城県、みやぎ高度電子機械産業協議会、みやぎ自動車産業振興協議会、岩手県、いわて半導体関連産業集積促進協議会、東北経済産業局等と協力して、地域・地元企業との技術マッチングプログラムに着手し、4つの実用化事業(うち1件は、国の橋渡し事業に採択)を立ち上げました。世界トップクラスの研究成果を更に蓄積し、ワールドクラス企業との産学連携研究を発展させると共に、地域企業との連携活動を進めて参ります。

今後も革新的技術の創出を通じて我が国の国際的競争力強化と東北復興に寄与し、“世界から見える研究開発拠点”から“世界をリードする研究開発拠点”へと発展して行くことを目指して参ります。