東北大学 極限材料創製化学分野

仙台市青葉区,  宮城県 
Japan
http://www.che.tohoku.ac.jp/~aim/hayashi/index.html
  • 小間番号1227


SDGsに立脚したエレクトロニクス実装用に問題点(コスト・価格)を解決した実用ナノ材料合成技術を公開

SDGsに立脚したMEMSやヒューマンインターフェースの高度化に重要なIoT用ナノ材料の低コスト・高スループット合成とそのナノ材料応用(フレキシブル銀ナノワイヤー透明導電膜、ダイアタッチ用低コスト・高環境性銅ナノ粒子、銀ナノ粒子、白金ナノ粒子、ナノソルダー)について最新技術を公開します。


 出展製品

  • 超高濃度・分散剤フリー銅ナノ粒子
    わずか10分で4M(25g0/L)の高活性な分散剤フリーの80nmの銅ナノ粒子超高濃度合成が廃棄物が発生しないプロセスで実現...

  • 金属ナノ粒子の産業利用は、SDGs(持続可能な達成目標)における環境問題の解決や省エネルギー化の達成に大きく貢献すると考えられている。特にエレクトロニクス実装における金属ナノ粒子の利用は、デバイスの高性能化・軽薄短小化だけでなく、実装温度の低温・短時間化による革新的な省エネルギー化を実現する。電子実装用の金属ナノ粒子は、ハイパワーエレクトロニクス用途の銀ナノ粒子の開発が先行しているが、銀よりも安価な銅の利用が求められている。しかしながら、銅ナノ粒子は、銀よりも酸化しやすいため、合成時のハンドリングにコストが必要である。従来の銅ナノ粒子を含む金属ナノ粒子の合成においては、1.低濃度合成, 2.毒性原料の使用, 3.長時間合成, 4.ナノ粒子の成長を防ぐ大量の表面保護剤の使用, 5.合成後の洗浄と廃棄物処理の問題があり、これらの結果として、6. 高コスト・高価格になる問題があった。今回、高性能な銅ナノ粒子合成ためのこれらの問題を解決した新しい合成法を開発した。

    1. わずか10分の合成 《従来の1/50》
    2. 超高濃度合成(最大4M、250g/L) 《従来手法の20〜100倍》
    3. 酸化物を原料とした手法 《従来は硫酸塩等》
    4. 表面保護剤の使用無しで約80nmの銅ナノ粒子を合成 《従来は合成不可能》
    5. 分散剤不要で高活性で低温焼結が可能 《従来は保護剤が銅ナノ粒子表面の物性を阻害》
    6. 廃棄物が発生しないので洗浄が不要 《従来は保護剤と硫酸等の洗浄と廃棄物処理が必要》
    7. 高環境性と高活性と低コストを兼ね備えた銅ナノ粒子合成を実現 《従来の1/5以下のコスト》
    単純な短時間・高環境性・高効率合成が可能になったことで、より安価に銅ナノ粒子の利用が可能になり、エレクトロニクス実装用に大量使用・低コスト化が可能になった。
  • ナノソルダー(はんだナノ粒子)
    低コスト・分散剤フリーで次世代実装用のナノソルダー合成を実現...

  • IoT時代の到来により、MEMSパッケージやヒューマンインターフェースにおいてより高集積化が求められていますが、半導体プロセスにおいてムーアの法則が限界に近づいています。今後、更なる高集積化や、一体化が困難だった異種デバイスを融合した新機軸の革新的デバイス実現のためには、 半導体プロセスだけでなく、実装プロセスが一体となった 「More than Moore」技術が必須です。 ナノサイズのはんだであるナノソルダー技術は、実装プロセスにおける高集積化だけでなく、はんだの融点以下の低温実装を可能にし、省エネルギー・省資源化と革新的デバイス製造を実現する技術であり、サステナブルな未来社会を創造します。

    現状のナノ材料製造技術は、低収率で高コストであり、応用実用化が困難な状況です。本研究開発では、従来のナノ粒子合成とは合成概念が全く異なる、毒物原料の使用や廃棄物 の発生を格段に低減させた低コスト・高スループットの省エネルギー実用ナノソルダー合成技術とその原理現象の解明と共に、ナノソルダーの機能を最大限に発揮させるペースト技術を開発します。

    「はんだ融点を超える」実用ナノソルダー・ナノソルダーペーストのポテンシャルを実証し、高集積化・省エネルギー実装プロセスによる革新的な実装設計とそのデバイス製造・利用 による社会実装によってサステナブルな社会構造・産業構造を実現します。

  • 有機前駆体ペイント還元法による低コストフレキシブル銀ナノワイヤー透明導電膜
    低コストでローエンド製品への応用も可能な凹凸面への成膜が可能なフレキシブル銀ナノワイヤー透明導電膜...

  • 現在、ディスプレイ基板が柔軟性をもち、薄くて割れなく、紙のように曲げることが可能なフレキシブルディスプレイに対応する透明導電膜の実用化研究が行われています。従来、透明導電膜で用いられている酸化インジウムズズ(ITO)は脆弱で曲げることが不可能であることから、導電性と光透過性及び曲げ耐性を有した銀ナノワイヤー透明導電膜が実用化段階にあります。しかしながら、現状の銀ナノワイヤー透明導電膜の製造には、銀ナノワイヤーの合成と、銀ナノワイヤー膜の合成の2ステップのプロセスが必要であり煩雑です。1段階目の銀ナノワイヤーの製造の大きな問題として原料における毒性物質の使用、ナノワイヤー合成のための大量の有機保護剤の使用、合成における大量の毒性廃棄物の発生が挙げられます。従来のナノワイヤー合成は原料由来の毒性廃棄物や大量の有機保護剤、洗浄処理やその廃棄物処理が、ナノワイヤー合成における高スループット化の阻害と高コスト化の原因となっています。また、その合成した銀ナノワイヤーを基盤に配列させ膜を形成させる2段階のプロセスも高コスト化の原因であり、これらの解決が求められています。
    これらの銀ナノワイヤー透明導電膜製造における問題を解決するために、毒性物質および有機保護剤を使用しない、銀ナノワイヤーの合成と製膜を1ステップで可能な銀ナノワイヤー透明導電膜合成製法を開発しています。この手法では、針状の有機前駆体を合成した後、スプレーガンで基板に塗布し、還元し合成を行うことにより、プロセスの簡便化とコストの低減を可能にします。有機前駆体の合成では毒性物質を使用しない、廃棄物が発生しない高濃度合成プロセスを構築することにより、低価格化が可能になります。
  • 室温での酸化ガリウム半導体材料の合成
    低温で安価に合成可能な酸化ガリウム半導体...

  • 酸化ガリウムは, ワイドギャップ半導体として期待されている材料であり, 導電性や発光特性, 触媒特性の観点から, ナノサイズ化が求められている. 従来, 酸化ガリウム粒子に限らず, 一般的な酸化物セラミックス粒子合成では, 合成のためには数百度の加熱(酸化ガリウム合成の場合は800℃以上)が必要で, またナノ粒子の合成には, 粒子成長を防ぐためのキャッピング剤が必要であり, 合成後には不純物の洗浄処理が必要であった. 

    今回, 高性能な酸化ガリウムナノ粒子を合成するための安価で省エネルギーである新しい合成手法を開発した. 

    新しく開発した酸化ガリウムナノ粒子の合成手法は, (1)金属ガリウムに超音波照射を行うことによって, (2)金属ガリウムナノ粒子を合成する. (3)高活性な金属ガリウムナノ粒子の特性を利用し, ヒドラジンを添加して室温で酸化させる. 従来は低温で合成した場合, 酸化物ではなく水酸化物関連物質が生成するが, ヒドラジンを添加することにより水酸化物の生成を抑制し, 金属ガリウムナノ粒子の直接酸化を可能にすることによって, 室温で酸化ガリウムナノ粒子を合成することに成功した. この手法は室温・常圧で合成が可能であるだけでなく, キャッピング剤の使用や洗浄が不要で, 200nm程度のナノ粒子の高スループット合成が可能になった. これらの合成時の環境負荷・エネルギーの低減により, 従来手法の1/3以下のコストで製造が可能になった.