半導体集積回路は、素子微細化/集積度向上により、性能向上、消費電力とコスト低減を飛躍的なレベルで実現してきましたが、近年、半導体の原子サイズによる微細化の物理限界が認識されてきました。一方、微細化に代わる集積規模拡大、性能向上/消費電力低減を実現する解決法として、集積回路チップを従来の半導体実装技術に比べて密に結合して集積回路チップの集合体を構成する、チップレット集積技術が注目を集めています。
アオイ電子は、東京工業大学 科学技術創成研究院 未来産業技術研究所の栗田 洋一郎 特任教授と共同研究企業とともに、“Pillar Suspended-Bridge(PSB)”と呼ぶ技術を用いたチップレット集積技術を開発しました。本技術は、今後の大規模なチップレット集積に求められる、広帯域のチップ間接続性能、チップレット集積規模の拡大といった要求を、最小限の構成と製造プロセスで実現するものです。チップ間の広帯域接続には微細な“MicroPillar”を経由したシリコン・ブリッジ接続構造と、“All Chip-last”と呼ぶ製造プロセスを特徴としています。これらの構造とプロセスは、チップレット集積に求められる要求を最もシンプルな形で提供するものであり、今後の鈍化が見込まれる微細化に代わって、半導体集積回路システム技術の進化を加速していくことが期待されます。
当社は本技術の事業化に向け、周辺技術の開発を進め、早期量産化を目指します。また、当社は、10月1日に設立された、東京工業大学(栗田 洋一郎 特任教授)、大阪大学(菅沼 克昭 特任教授/名誉教授)、東北大学(福島 誉史 准教授)を中心とした、チップレット集積プラットフォーム・コンソーシアムに参加しております。