大気圧プラズマを用いたナノ精度の加工技術等を紹介します。
大阪大学の山村研究室では、『プラズマを用いたナノ製造プロセスPlasma NanoManufacturing)』を開発しています。本プロセスは、形状創成(Figuring)、表面仕上げ(Finishing)、表面機能化(Functionalization)の3つのプロセスから構成されています。
形状創成プロセスでは、局在した大気圧プラズマを速度制御走査することで、非球面形状を有する光学素子の形状創成、水晶ウエハやSOI等の薄膜の膜厚均一化、ガラスレンズ成型用のCVD-SiC製金型の形状修正等をナノメータオーダの精度で行えます。
表面仕上げプロセスでは、プラズマ照射と固定砥粒研磨を複合することで単結晶のSiC,GaN, ダイヤモンド基板を高能率かつダメージフリーに原子オーダの滑らかさで仕上げることができます。高価なスラリーを用いないため低コスト化が期待でき、また、アルカリ成分等の無いドライプロセスであるためエッチピットが形成されません。
表面機能化プロセスでは、本研究室が独自に開発した熱アシストプラズマ技術により、化学的に不活性なフッ素樹脂の表面を荒らすことなく、金属やゴム材料と強力に接着することができます。これまでにPTFEに対してブチルゴムを接着剤を用いることなくゴム側が材料破壊するくらい強力に接着し、また、銀インクや銅ペーストを用いた配線パターンを実用的な接着強度で形成することに成功しています。
また、無欠陥の単層グラフェンシートの作製とその単結晶ゲルマニウム基板のダメージフリー加工への応用、およびDNA折り紙技術を用いたナノスケールの構造作製とそのセンシング応用に関する研究にも精力的に取り組んでいます。
本出展ではそれぞれのプロセスの原理説明と最新の成果をパネル展示で紹介し、特にPTFEの表面処理に関しましてはゴムや銀膜、銅膜を接着した実物を手に取ってご覧いただき、その驚異的な接着性能を実感いただけます。