金属・絶縁体転移を示す二酸化バナジウム(VO2)は、融解を伴うことなく大きな潜熱を発生するため、相変化材料(PCM)として有用であることが知られています。
しかし熱伝導率が低いため、内部が瞬時に相変化しないという課題がありました。そこで金属を適切に分散させ、放電プラズマ焼結(SPS)することで熱応答性の高い固体潜熱蓄熱材を開発しました。PCMによる冷却効果は熱応答性能指数(熱伝導率×潜熱)で評価されますが、開発品はパラフィンの約470倍の性能を示し、これは世界トップ値です。
従来の潜熱蓄熱材の多くは、固体から液体への相変化を伴うため、液漏れ対策や容器設計が課題となっていました。一方、VO₂は固体-固体の相転移を利用するため、固体形状を保ったまま熱エネルギーを蓄えることが可能です。
VO₂は、元素添加により相転移温度を25℃~70℃に調整可能で、用途に応じた動作温度設計が可能です。さらに、Cuの添加量を変えることで熱伝導率も制御でき、蓄熱性能と放熱特性のバランスを最適化できます。
金属に近い加工性を備えており、穴開け、切削、研削、切断などの多様な加工に対応可能です。一方で、セラミックスとしての特性も有しているため、曲げや圧延などの塑性加工には適していません。