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島根大学 藤田・吉田研究室

  • 小間番号7662


革新的な半導体ナノ粒子塗布プロセスによるZnOナノ粒子塗布型LED・TFTとMOCVDによるZnO薄膜技術を紹介します.

内部が単結晶である半導体ナノ粒子塗布膜は,単結晶に近い特性を示します.ここで紹介する酸化亜鉛(ZnO)ナノ粒子を用いたデバイスは大気中での塗布という簡易なプロセスで作製できます.また,当研究室では世界で唯一のp型ZnOナノ粒子の生成技術を持っています.本出展ではこのまったく新しい半導体プロセスで作製したZnOナノ粒子塗布型LEDとTFTについて紹介します.また,大学発ベンチャー・株式会社S-Nanotech Co-Creationにおいて事業化に進展したMOCVDによる酸化亜鉛薄膜の成長技術とp型ZnOナノ粒子を用いた光触媒技術について紹介します.更に半導体のナノ構造の原理を応用した音響クリスタル・メタマテリアルにについてはデモを行います.


 プレスリリース

  • SEMICON Japan 2024アカデミアAward二次審査のプレゼンテーションが12月11日に行われ、「酸化亜鉛薄膜・ナノ粒子による破壊的イノベーションと社会実装」と題して発表した島根大学藤田・吉田研究室が最優秀賞とSUMCO賞を受賞しました。プレゼンテーションの内容の展示はSEMICON Japan2024アカデミア(東7ホール・小間番号7662)で行っています。


 出展製品

  • 酸化亜鉛ナノ粒子塗布型近紫外線発光ダイオード
    酸化亜鉛(ZnO)ナノ粒子を塗布することにより単結晶基板を用いない超安価な発光ダイオードを開発しました.照明装置やディスプレイなど窒化ガリウム系の発光ダイオードに代る様々な応用への展開が期待できます....

  • 島根大学では、減圧空気中でアーク放電により亜鉛を蒸発させるガス中蒸発法により窒素ドープ酸化亜鉛ナノ粒子を生成することに成功しました。この粒子はこれまで酸化亜鉛で困難にであった安定なp型伝導を実現し、これをn型酸化亜鉛上に塗布することにより近紫外域の発光ダイオードができることがわかりました。このナノ粒子塗布型LEDは、酸化物を用いるために高度な真空プロセスが不要で大気中で塗布することが可能です。また、単結晶を用いる必要がなく、超安価な発光ダイオードを実現できます。更に近紫外域での発光を示すため、蛍光体を組み合わせて白色発光やRGB発光が可能で、大面積な照明装置やマイクロサイズのディスプレイの画素への応用が期待されます。

    本研究成果の一部はSemiconductor Todayのニュースで紹介されています.https://www.semiconductor-today.com/news_items/2024/jul/shimane-240724.shtml

    関連特許

    「酸化亜鉛超微粒子および酸化亜鉛超微粒子の製造法」,特許4072620

    「酸化亜鉛系発光素子」,特許5277430.

    「発光素子及びその製造方法」日,特許第6004404号,JP201305472,WO2013125719.

    「発光素子」,特願2019-110258.

    「発光素子,ディスプレイ,照明装置」,特願2020-5112.

  • MOCVDにより成長した酸化亜鉛薄膜
    有機金属気相成長法(MOCVD)を用いてガリウムドープ酸化亜鉛薄膜の研究を行い,低輝度な励起光に対してもバンド端発光のみを示す高品質な薄膜の開発に成功しました.2018年より大学発ベンチャー株式会社S-Nannotech Co-Creationにより製造販売を行っています....

  • 島根大学では、JST育成研究により酸化亜鉛薄膜成長用MOCVD装置の開発を行い、MBEを上回る高品質な無添加酸化亜鉛単結晶薄膜の成長に成功しました。この装置を用いい窒素ドープMgZnOの成長を行いMOCVDでは世界で初めての近紫外域シングルヘテロLEDの作製に成功しています。また、ガリウムドープを行い低抵抗な透明導電膜や微弱光の検出に適した高速蛍光体の作製も可能です。これらの技術は島根大学発ベンチャー・株式会社S-Nanotech Co-Creationを通して事業化に進展しており、MOCVDによって製膜したエピタキシャル薄膜の製品化を実現しました。

    関連特許

    「酸化亜鉛系薄膜の成長方法」,特許3605643.

    「シンチレータ及び電子検出器」, 特許6676372.

    シンチレータの形成方法」,特許 6948675.

  • 半導体ナノ粒子層のTFT
    半導体ナノ粒子を用いた塗布型TFTを開発しています。ディスプレイの低コスト化と大型化や,LSIを作り込む基材選択肢の飛躍的な拡大を達成します。...

  • 本研究は,半導体薄膜層の代わりに半導体ナノ粒子層を使うことで,従来の半導体薄膜作製技術では作ることができない様々な場所(基板の材料や表面形状)にも,半導体薄膜として機能する層を形成し,ディスプレイ・太陽電池・センサーをはじめとした広範囲な分野に応用することを目的としています。すでにZnOナノ粒子層を用い,n型とp型のTFT動作を実証しました。現在,寄生抵抗の低減を狙っていますが,その過程でZnOナノ粒子への熱拡散型ドーピングが可能であることを見 出しました。ナノ粒子が持つ可能性を半導体デバイスへ組み入れることで,新しい発見を探求します。

  • 酸化亜鉛ナノ粒子を用いた抗菌剤
    酸化亜鉛は,半導体であり,光吸収により水や酸素から活性酸素を生成する光触媒効果を示します.酸化亜鉛は,光触媒に用いられる酸化チタンに比べ,化学的に不安定な問題がありますが,暗所や可視域の応答性で優れた特性を持ち、抗菌材、抗ウィルス用途には適していると考えられます.更に抗がん剤としても効果も確認されています....

  • 酸化亜鉛は,半導体であり,光吸収により水や酸素から活性酸素を生成する光触媒効果を示します.酸化亜鉛は,光触媒に用いられる酸化チタンに比べ,化学的に不安定な問題がありますが,暗所や可視域の応答性で優れた特性を持ち、抗菌材、抗ウィルス用途には適していると考えられます.当研究室では,世界で唯一p型とn型の酸化亜鉛ナノ粒子を合成できます.p型は表面に電子が蓄積し,還元反応を起こし,n型は表面に正孔が蓄積し,酸化反応を起こします.従来の光触媒では効率を上げるために電子と正孔を分離するために担持金属を用いる必要があり,コストが高くなったり,担持金属が遊離したりする問題がありました.半導体の特性を用いて導電性の制御で表面のバンドの曲がりをコントロールすれば電子と正孔の分離が可能なため,担持金属が不要で高効率な光触媒が得られます.更に抗がん剤としても効果も確認されています.この光触媒による抗菌効果は遮光下でも有効なため,体内でも弱い効果が持続し,がん細胞を死滅させても正常細胞に毒性がない優れた効果が確認されています.また通常の抗がん剤に対して耐性をもったがん細胞にも効果があることが特徴です.

    関連特許

    「光触媒材料及びその製造方法、抗菌剤」,特開2023-106792

    関連論文

    Mol Cancer Ther; 19(2) February 2020

  • 音響メタ構造による⾳波制御
    光を制御するフォトニクスやメタマテリアルの技術を⾳波に適⽤した音響クリスタルや音響メタ構造は低コストで作製可能です.これらの技術は騒⾳低減や超⾳波診断の⾼分解能化に応⽤できます....

  • フォトニクスやメタマテリアルの技術は光や電磁波を制御しますが,これを音波に応用したのが音響クリスタルや音響メタマテリアルです.写真の左はナノサイズの結晶構造をもつ半導体結晶です.結晶を構成する原子を変えることで電子のエネルギー状態が変わり,光の吸収特性に係わるバンドギャップエネルギーの大小により,可視光を透過したり,吸収したりする特性が得られます.これらは電子の波長程度のナノサイズの結晶によって電子の波を制御しています.これらを作製するためには高度な半導体の結晶成長技術が必要です.また,人工的に自然界にない特性をもつ光の波を制御するメタマテリアルを作製するには,光の波長程度の微細加工技術が必要になります.これに対し,音波や超音波を制御する音響クリスタルや音響メタマテリアルはミリメートルからセンチメートルのオーダーの構造で良いので,写真の右のように3Dプリンターなどで音波に対するバンドギャップを制御した結晶を簡単に作製することができます.これらの技術を用いると,たとえば遮音材料の質量則(低周波の音を止めるには重い物質が必要)に対し,質量がマイナスになる自然界にない結晶をつくることができ,低周波騒音を軽い物質で止めることができるようになります.このように電子や光の波を制御する半導体やフォトニクスの技術を音波に適用することにより新しい産業応用への展開が期待できます.