信越化学工業㈱は、マイクロLED用製造システムに続いて、半導体パッケージ基板製造装置と新工法を開発しました。
本装置は半導体の前工程で用いられるデュアルダマシン工法を後工程用パッケージ基板製造に応用し(信越デュアルダマシン法)、インターポーザの機能を直接パッケージ基板に盛り込むことが可能な高性能なエキシマレーザ加工装置です。インターポーザが不要となるだけで無く、従来工法では実現出来なかった超微細加工を可能とします。パッケージ基板製造におけるフォトレジスト・レーザードリルが不要となるため、各種コスト低減と設備投資・設備設置面積の抑制に繋がります。
半導体の高性能化をコスト低減面から支える技術として回路を個片化して一つのパッケージに収める『チップレット』が注目を集めていますが、この技術では、複数のチップレットを中間基板に搭載し、チップレット同士を接続する工程が必要とされています(この中間基板をインターポーザと称します)。信越デュアルダマシン法はインターポーザを不要とし、この工程を大幅に簡略化します。インターポーザと同様の機能を有した配線パターンを直接パッケージ基板に加工・形成することにより、チップレット間の接続をパッケージ基板上で行うことで、チップレットを用いる最先端半導体の更なる工程短縮、大幅なコストダウンが実現可能となります。
本装置の高度な微細加工技術により、直接、多層パッケージ基板の各層に複雑な電気回路パターンを有機絶縁層の中に掘り込み、銅メッキで回路することが可能となります。またエキシマレーザを光源として利用し、大面積の電気回路パターンを一括成型することができます。信越デュアルダマシン法を用いると現在主流のドライフィルムレジストを使用するSAP法では達成できなかった超微細加工が可能となります。本レーザ加工装置は、自社製の大型フォトマスクブランクスを用いたフォトマスクと独自の光学系の組み合わせで□100mm以上の面積を連続で高速加工出来ます。加工時間は1パッケージ基板の大きさによって変わりますが、配線パターンと電極パッドの加工時間とビアの加工時間は同じです。しかも他装置と異なり、ビア加工時間はビア数に依存しません。一例として2μm溝幅で深さ5μmのトレンチと直径10μmで深さ5μmの電極パッドを515x510(mm)の有機基板上に加工する為に必要な時間も、その後、上径7μm/下径5μm/深さ5μmのビア加工時間も同様に凡そ20分程度で完了します。
信越化学では独自の素材技術と装置技術を融合させる取り組みを行っており、新たな製造プロセスを開発することで材料・装置の両面からトータルソリューションを提案し、次世代技術の発展を牽引して豊かな社会の実現に貢献します。